ポーランドのインタラクティブアートの会社「Plastic」が贈る、精神世界を舞台にしたアクションアドベンチャー。
PS4『バウンド:王国の欠片』をレビューします。
抽象アートのような世界が特徴的。
主人公・姫を操作し、「トラウマ(恐怖)」にダンスで立ち向かう。
ステージは最初の「チェス」、最後の「フィナーレ」以外の5ステージ(「木」「叫び」「蒸気」「紙飛行機」「真珠」)は任意の順番で攻略可能。
その5ステージは、それぞれ最後にそのステージを象徴する「トラウマ」を克服してクリア。
他のステージでは、その克服した「トラウマ」からの攻撃を受けなくなる。
現実世界では、妊娠した女性がプレイヤーキャラ。
砂浜を歩き、絵が描かれたノートブックでステージ選択をする。
今作は、PlayStation VR対応。
俯瞰視点でプレイしたり、カメラを姫に寄せてのプレイも可能らしい。
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目次
概要
ゲーム内容
ゲーム内容については、こちらの記事でまとめています。
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妊婦が「妊婦の精神世界のゲーム」やってみた /『バウンド:王国の欠片』 レビュー
『バウンド:王国の欠片』の主人公は妊婦さん。「同じ妊婦だから、伝わるものがあるかもしれない」ということで、プレイしてみました。母として感じたことがありましたので、その想いも綴りました。
良い点
動きの全てが、美しいダンス
今作の魅力は、もうこの一点に尽きます。
これから挙げる「良い点」も「不満点」も、この要素に比べればなんてことないくらい。
言葉や画像でいくら説明しても、伝わらないと思われるので、こちらの公式動画を。
いかがでしょうか?
この動き、この美しさにビビッと来たなら、もう「買い」です。
逆に「うーん、別に」と思ったなら、今作はやめた方が良いです。
不満の方が多くなります。
この「姫」のモーションは、プロのコンテンポラリーダンサー兼バレエダンサーであるMaria Udod氏。
振付は、Michal Goral氏。
姫は作中あまり多くを語りませんが、その感情、その動きは全てダンスで表現されます。
走る、跳ぶ、狭い橋を渡る、壁沿いを歩く、ロープを登る、攻撃を受ける、全てダンス。
落下ミスからの復帰すら、ダンス。
「R2ボタン押しっぱなし」+「様々なボタン」で、踊りながらバリアを張れますが、ぜひこの場面では「R2ボタン」のみを押した状態を見てほしいです。
そのシーンに合わせた、渾身のダンスを魅せてくれます。
姫の顔を描かない
「なんのこっちゃ」と思うかもしれませんが、精神世界内での姫の顔はこんな感じ。
ツルツル。
仮面なのかなんなのか、とにかく「のっぺらぼう」フェイスなのです。
顔を描かなかったおかげで、彼女の表情は全て「動き」に委ねられます。
見る側も、動きの方に集中できます。
これは秀逸なデザインだと思います。
なんせ、今作の「人間の顔」は、酷いモデリングですし。
やたら高機能なフォトモード
タッチパッド押しこみで、フォトモードが起動。
精神世界内ならいつでも起動可能で、かなり細かい設定ができます。
「露出補正」や「ボケ調整」の他に、姫の表示のオン/オフ、 NPC 表示のオン/オフ機能まで。
おもしろいのは「次のフレーム」で、例えばジャンプ中にフォトモードを起動し、この「次のフレーム」を押すと、ジャンプ中の動きを「コマ送り」で進められます。
ねらったポーズを撮影するのに、有用。
描画表示の「加工」も可能で、「油絵」「輪郭効果」「網点」「レリーフテクスチャ」に変更できます。
また、フォトモードで設定した項目は、通常のゲームプレイ時には反映されませんが、一度ゲームクリアをすると反映される項目があります。
- ビネットスケール
- フィルム粒子密度
- フレーム
- カラーフィルター
以上が、通常でも有効な設定。
「フレーム」を「ロゴ(ステンシル)」とかにするとメッチャ見づらいです。
テクニック次第で、どこへでも行ける
ステージ毎に、決められたルートがあります。
わき道や、隠し通路などにショートカットもあります。
ステージ中に散りばめられた「欠片」を集めることで得られる トロフィー も。
全然関係ない柱やオブジェクトを渡ることも可能です。
ひたすら岩登りをしても、結局何もないことの方が多く落胆はしますが「ずいぶん自由なんだな」とも思いました。
ジャンプや壁キックなど、様々なアクションを駆使し、誰も到達したことがなさそうな場所に降り立つのも良いかと。
不満点
難しすぎるトロフィー
トロフィー はやりこみ要素で、自己満足の世界であるし、そこまで強く不満というわけではありませんが・・・難しすぎです。
今作のトロフィーの取得率は、ほとんど0.1%とか、0.2%とか異常な数字。
今作をそこまでやりこむ人自体が少ないのかもしれませんが、取得率低すぎ。
中でも鬼門となりそうなのが、「各ステージの タイムアタック 」と「警戒(一度も落下せずにクリア)」。
▼タイムアタック
各ステージにはショートカットがいくつか隠されていますが、その全てを使いつつも、ほぼノーミスで走りきらないと達成は不可能。
あまりにも厳しい。
「全ショートカットを使えば余裕」もしくは「ショートカットを1つ見逃してても、ノーミスなら間に合う」くらいのバランスがちょうどよかったです。
▼警戒
今作は「落下防止機能のON/OFF」ができます。
これは、姫が崖で自動で止まる機能なのですが、これをOFFにしたら落ちる落ちる。
ほんの少し崖にさしかかっただけで落下。
「一度も落下せずにクリア」は、この「落下防止機能」をOFFにしないとダメ。
途中セーブも不可。無茶な。
そもそも「タイムアタック」に不向き
今作をクリアすると、「 タイムアタックモード 」が解禁されます。
通しで挑戦するか、ステージ毎に挑戦するか選べます。
ステージタイムアタックの場合、克服したトラウマのON/OFFも可能。
挿入されるムービーは、スキップされるものとされないものとがあり、スキップされないものも多いためムービー中はツライ。
ダンスで動くため、急いでほしいところで優雅に動かれる事もあり、ヤキモキする。
せっかくの美しいダンスが、タイムアタック中はイラつく要素になってしまいます。
そしてその時間設定もシビア。
わかりづらい
▼まず、話がわかりづらい
現実の女性のトラウマを、精神世界のステージで表しているのですが、「王国がー」とか「怪物がー」とかって話は要るのだろうか?
かえって意味が分からなくなってないか?
今作の開発は、以前僕が酷評したPS3『DATURA』と同じPlastic。
まぁ、『DATURA』より遥かに良くはなっていますが。
▼「怪物」と「救世主」がわかりづらい
どちらも非常に巨大で、ほぼ同サイズ。
どちらもステージ中にちょいちょい現れるのですが、どっちがどっちだか分からなくなることもしばしば。
▼操作方法がわかりづらい
作中で説明の無い操作方法が多々あります。
タイムアタック や「欠片集め」の際は非常に重要。
テクニックとして使える操作方法については、こちらの記事でまとめています。
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妊婦が「妊婦の精神世界のゲーム」やってみた /『バウンド:王国の欠片』 レビュー
『バウンド:王国の欠片』の主人公は妊婦さん。「同じ妊婦だから、伝わるものがあるかもしれない」ということで、プレイしてみました。母として感じたことがありましたので、その想いも綴りました。
▼ステージ選択がわかりづらい
絵が描かれたノートブックで「ステージ選択」をするのだが、最初意味がわからず、ずっとノートを眺めていました。
正解は、「該当するページで○ボタンを長押しすることで、ステージ開始。」
悲鳴がウルサイ 叫びが五月蠅い
姫は落ちると「キャーーーー」と悲鳴を上げます。
プレイ中は様々な要因で落ちるのだが、そのたびに「キャーーーー」。
モーションは実に多彩で見応えあるのに、悲鳴はいつも「キャーーーー」。
「怪物」はステージ中に度々現れ、その「叫び」でこちらの動きを鈍らせます。
これがまた、やたらウルサイ。
酔う玉
ステージ中に、紫の球体が配置されているところがあります。
この球体は中心に重力が働いているらしく、乗ると球体の上を歩けます。
Wii『スーパーマリオギャラクシー』っぽい。と言えば想像できるだろうか。
この球体を歩く時、球体からジャンプする時の挙動・カメラがグワングワン。
人によってはかなり酔う。
幸い、ショートカットや「欠片集め」をしない場合、乗る必要はありません。
プレイ状況
ソフトウェア | ダウンロード |
プレイ時間 | 約25時間 |
トロフィー 状況 | 68% |
トロコン 難易度 | 非常に難しい |
総評
不満点を色々挙げましたが、つまるところ「ダンス」に魅力を感じられるかどうか。
トロフィー は別に無理して取ることないですし。
まぁ、そう判断した人が多くてあの取得率なのかもしれませんが。
僕は、なんか悔しかったのでチョット頑張りましたが・・・。
かなり独特なゲームですが、近いゲームを挙げると、
『DATURA』5割、『Flowery』3割、『風ノ旅ビト』2割ってとこかな。
とにかく美しく、アーティスティックな今作。
動画と、このレビューで興味が湧いたなら、ぜひ。
レビュー
総合評価 | |
シナリオ | |
操作性 | |
システム | |
キャラクター | |
ビジュアル | |
音楽 |
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妊婦が「妊婦の精神世界のゲーム」やってみた /『バウンド:王国の欠片』 レビュー
『バウンド:王国の欠片』の主人公は妊婦さん。「同じ妊婦だから、伝わるものがあるかもしれない」ということで、プレイしてみました。母として感じたことがありましたので、その想いも綴りました。