「魔法」そして「犠牲と代償」をテーマにしたダークファンタジー・アクションゲーム。
VITA『SOUL SACRIFICE DELTA』(ソウル・サクリファイス デルタ)(以下『DELTA』)をレビューします。
プロデューサーは、『ロックマン』シリーズを作った稲船敬二氏。
2013年3月に出た『SOUL SACRIFICE』(ソウル・サクリファイス)(以下『無印版』)のリニューアル版。
『無印版』の内容は全て収録されているので、今からプレイするなら『DELTA』にしましょう。
俺は2作ともプレイしたので、その辺りも踏まえてレビューしようと思います。
『無印版』→『DELTA』への変更・追加点は公式でまとめています。
気になる方はこちら↓も見てみましょう。
http://www.jp.playstation.com/scej/title/soulsacrificedelta/shinka/
類別すると「狩りゲー」であり、「共闘ゲー」というジャンルになるゲームだが、俺は協力プレイをしなかったため、その部分については触れません。
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目次
概要
発売日 | 2014年3月6日 |
発売元 | ソニー・コンピュータエンタテインメント |
開発元 | SCEジャパンスタジオ、マーベラスAQL |
ハード | PS VITA |
ジャンル | アクション |
CERO | D(17才以上対象) |
公式サイト | SOUL SACRIFICE DELTA |
画像の出典 | 画像は全て、ハード本体のスクリーンショット機能で撮影したもの |
ゲーム内容
主人公は牢獄に囚われた人物。
牢獄で発見した、しゃべる魔導書『リブロム』に記された「ある魔法使い」の記憶を追体験する。
この「追体験」が、他の狩りゲーでいう「ミッション」や「クエスト」の扱い。
『リブロム』には、今作の世界設定を記した文献や、細かい操作方法、主人公の容姿や装備を整える項目等も揃っている。
良い点
徹底的に作り込まれた世界設定
『リブロム』に記された「とある魔法使い」を始めとする、今作の「魔法使い」たちは、「魔物の討伐」を目的としている。
この「魔物」は、それぞれ動植物や人間が、様々な理由で「魔物」へと変異した姿である。
元人間であろうと「魔物」は排除対象なため、「魔法使い」たちは「殺人」をせねばならない立場ということに。
この「魔物」たちは、それぞれどのような経緯で変異したのかが『リブロム』内の文献で読むことができる。
この文章量が膨大かつ、非常に丁寧に描かれているため、読み応え十分。
引き込まれるし、納得がいくし、教訓にもなる。
「魔物」の行動の理由も、よく理解できるようになる。
「魔物」たちは、主に北欧神話や童話がモチーフになっているが、元になった物語と、今作ならではの要素を混ぜ合わせた、全く新しい個性的な物語を読むことができる。
これは魔物「赤ずきん」のエピソード。
「狼」や「老婆」、「騙す」「腹を裂く」といったエッセンスも盛り込んでいる。
戦闘を行うフィールドの伝承まで収録されている。
多彩かつスピーディーな「魔法」バトル
今作の戦闘は「魔法」であるが、一般的なゲームで言う「魔法使い」の戦法とは異なる。
回数制限のある「供物」を媒介として、様々な魔法を繰り出すことができる。(追体験終了で回数は戻る)
剣や拳を作りだし近接戦闘を行うことも可能。
瞬間移動で素早く立ちまわったり、遠距離攻撃主体でも良い。
罠を仕掛ける魔法もあるし、盾や鎧、ゴーレムを作りだす魔法もある。
『無印版』では「投擲魔法」が強過ぎたが、バランス調整され、極端な性能の魔法はほぼなくなった。
そのため戦法に正解はなく、プレイヤーの好みや状況、プレイスタイルに合わせて様々な魔法を選ぶことができる。
装備した魔法セットは個別に登録することが可能で、簡単に付け替えできる。
ちなみに俺は、「機雷魔法」や「突撃魔法」が主戦力。
「生贄」「救済」そして「運命」
魔物を倒すと、その本来の姿が現れる。
プレイヤーは、その動植物や人間を「生かす」か「殺す」かを選択することになる。
殺す場合「生贄」とし、その魔物の魂を得て、攻撃力が成長する。
生かす場合「救済」し、その魔物の気を得て、耐久力が成長する。
「救済」したのが人間の場合、「同行者( NPC )」としてフリークエストに連れて行けるようになる。
どちらも重要なメリットがあるし、魂や気は、能力の底上げに使える「刻印」を得るのに必要。
『DELTA』ではさらに、魔物の生死を運に任せる「運命」という選択が追加された。
生きるか死ぬかは完全にランダムで、成長は平均的に上がる。
どの選択を取ろうと自由。
プレイスタイルやポリシーに則ったって良い。
濃密で引き込まれるシナリオ・演出
シナリオは「ある魔法使い」の日記という形で進行していく。
全ての文章を『リブロム』が読み上げ、そのシーンに合った挿絵や効果を交えながら見せてくれる。
これが非常に良くできた作りであり、どんどん読み進めたくなる。
『無印版』にて終わった物語を、『DELTA』で自然にほどき、壮大で納得のいく結末に持っていくそのシナリオには脱帽。
『DELTA』で新たに加わった様々な物語も、『無印版』の大事な部分を上手に補足しており、実に高品質。
他のゲームとのコラボ
コーエーテクモの『討鬼伝』から「ゴウエンマ」と「ダイテンマ」。
バンダイナムコの『ゴッドイーター2』から「マルドゥーク」。
SCEの『フリーダムウォーズ』から「ディオーネ」。
これらの敵と戦えるクエストが存在する。
それぞれの武器や道具をモチーフにした魔法や、それぞれのゲームの衣装を着ることもできる。
『ワイルドアームズ2』の「ナイトブレイザー」の衣装や、『グラビティデイズ』の「キトゥン」の衣装もある。
不満点
敵がグロテスク
変異した経緯を考えれば、いたしかたない部分ではあるが、今作に出てくるほぼ全ての敵はグロテスク。
こちらが使う魔法もそこそこグロいものもあるし、グロ耐性が無い人には、今作はキツいゲームであろう。
心臓刻印の効果が薄い
レベル100を初期レベルに戻すことで可能になる「心臓刻印」。
主に各系統魔法の威力アップに使うのだが、その効果が薄い。
最初の1回は大幅に強化されるが、その系統の2回目以降は5%ずつしか上がらない。
「レベルリセット」なんて大技を使うのだから、もっと大胆に強くなりたかった。
プレイ状況
ソフトウェア | ダウンロード版 |
プレイ時間 | 『SOUL SACRIFICE』67時間 『SOUL SACRIFICE DELTA』176時間 |
所持しているサウンドトラック | SOUL SACRIFICE オリジナルサウンドトラック |
トロフィー 状況 | 2作品とも100% |
トロコン 難易度 | 難しめ 時間がかかる |
総評
やっていることは他の「狩りゲー」と大差は無い。
しかし、その見せ方・演出・言葉のチョイスで、今作は唯一無二の存在感を放っている。
従来の「狩りゲー」に飽きた方、濃くてダークなシナリオと世界に惹かれる方、多少グロくても平気な方、今作は大変オススメ。
レビュー
総合評価 | |
シナリオ | |
操作性 | |
システム | |
キャラクター | |
ビジュアル | |
音楽 |
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