はじめに
ともです。
先ほど『君たちはどう生きるか』を鑑賞し終わりました。
興奮冷めやらぬままレビュー記事を書き記していきます。
最後まで、是非ともお付き合いください。
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目次
序章
不安感が拭えない
一切宣伝せずに公開となった宮崎駿監督作品『君たちはどう生きるか』。
わかっているのはポスターの鳥の絵のみ。
声優くらい発表になるかと思いきや、なにもない。
さすがに不安になる。
私はスタジオジブリ作品が大好きだ 。
金曜ロードショーでの放送は必ず録画してもらい、何度も観た。(初めての作品は『ナウシカ』いや『ラピュタ』、まぁそのどちらかだ)
高校生以降は映画館に足を運んだ。
『千と千尋の神隠し』『ハウルの動く城』『ゲド戦記』『崖の上のポニョ』『借りぐらしのアリエッティ』『風立ちぬ』『かぐや姫の物語』『風の谷のナウシカ(再上映)』『もののけ姫(再上映)』。(いくつか抜けているが気にしないでくれ)
今作も是非、映画館で観たいと思っていた。
「本当に観に行ってもいいのか」と悩んでしまうのは「お金をかけて観る価値」があるかどうかだろう。
未知のものにお金を払うのは勇気がいる。
ガチャガチャだってある程度は中身がわかる。
「謎」と書かれたガチャガチャの見た目のハズレ感たるや半端ない。
それと同程度である。
まぁそれでもあの宮崎駿が監督なのだから、ただの「謎」よりは期待値はある。
公開当日の決断
公開日が近づくにつれ、SNSでは大喜利が始まり、様々な予想や妄想が膨らんだ。
それを「いいね」や「リツイート」で拡散され、多くの人の目に留まることとなった。
これは新たな宣伝方法である。
(これをさも口コミで広がったように仕掛けていたのなら、プロデューサー鈴木敏夫は天才である)
そして、公開当日。
朝からTwitterでは大騒ぎである。
『君たちはどう生きるか』のハッシュタグ(#)にあのポスターの鳥のデフォルメアイコン(ハッシュフラッグ)が付いたのである。
いやいや、大騒ぎしているのはそこではなく、大物歌手にそのアイコンが付くのである。
そのハッシュタグは「米津玄師」。
そして「地球儀」。
これは『君たちはどう生きるか』の主題歌『地球儀』を米津玄師が歌うことを示唆していた。
(まぁ、裏をかいて「米津玄師初声優」と予想した私は、見事裏切られた訳だが。)
そんな朝を迎え、期待値はぐんとあがった。
あのウルトラマンの気持ちを誰よりも理解し、歌詞にした米津玄師なら間違いようがない。
さらに期待値をあげたのはこれだ。
製作委員会がない!
製作委員会がないということは、誰も作品に文句を付ける輩がいないということだと。
だから今作が宮崎駿が一番描きたかった作品なのではないか、と、予想している人がいて、納得してしまったのだ。
と見えぬなにかに突き動かされた。
ネタバレなしの感想・レビュー
なにから説明をすればいいだろうか。
なにを言ってもネタバレになってしまう。
- これから映画館で観ようとしている人へのアドバイス。
- 映画館で観るか迷っている人へのアドバイス。
そう考えながら、感想を書こう。
「前情報がない」という初体験
普通の映画だと、さまざまな媒体でキャストが発表され、スタッフや主題歌が発表。
立派な公式サイトが作られて「予告動画」が公開。
番宣としてバラエティーやワイドショーなどのテレビ番組に出演者は駆り出され宣伝する。
誰が主人公で、誰が主人公の家族で、誰が悪役で、誰が死ぬのかさえもわかる。
しまいにはご丁寧にストーリーも語られる。
知らず知らずのうちに情報が目や耳で入り、潜在意識の中の海へとダイブする。
これが「普通」である。
いや、これが正解であると誰もが疑わなかった。
疑ったのは宮崎駿監督か、それともプロデューサー鈴木敏夫か。
どちらにせよ、これが画期的なのである。
情報が一切ないということは誰もが初見なのである。
初めて出会うキャラクター。
初めて聞くボイス。
初めて見る風景。
どれも「初めまして」なのである。
だからまずは身構える。
「予告で味方だと思っていたのに、敵だった」なんてのはよくあるが、どのキャラクターも正体がわからないため、まずは敵なのか味方なのかもわからない。(いや、敵か味方かの二通りにするのも馬鹿げてはいるのだが)
こんな体験は初めてだし、おそらく二度とないだろう。
こんなギャンブルは「普通」はしないからだ。
声優陣
昨今のスタジオジブリ作品では、声優業を専門としている方々ではなく、俳優業の方々を起用しているイメージだ。
今作ももれなく、俳優業のみなさんが多い。
歌手やタレントもいるが、
と思う人が1人もいなかった。
いや、正確には「そんなに気にならなかった」だ。
ここだけの話、声優陣の中に嫌いな人物が一人いて、声を聴くのもイヤだったのだが、ずいぶん上達したようで、違和感が少なかった。
なので、声優陣に不安はもたなくて大丈夫だ。
説教くさいかどうか
タイトルから察して「説教くさいのでは」と一部では言われているようだ。
しかし、説教部分はまったくない。
むしろ、その逆でファンタジーにあふれ、ハラハラドキドキする場面も多い。
なので、この映画は「説教を求める人」には向いていないので注意だ。
わからない人にはわからないまま
この映画、全年齢対象ではあるが、子ども向きではない。
いや、観ても全然問題はない。
しかし、理解しにくいだろう。
それは大人でも同じで、映画館でも「意味がわからなかった」と言っている声が聞こえた。
まぁそれはわかる。
場面が急に変わる箇所があるし、説明が少ない箇所もある。
しかし、同じ場面がいつまでもダラダラと続けられるのもどうかと思うし、説明口調で一から十まで丁寧に話されるのもどうかと思う。
今作に関して言えば、何回も観ることしかない。
なぜなら
と、上映中にも関わらず思ったほど、付いていくのに必死だったのだ。
まず1回目でストーリーに食らいついていく。
2回目では脳内でストーリーをおさらいしつつ、新しい気づきを回収していく。
3回目で、なにもかもわかった状態でようやく楽しんで観ることができるのではないだろうか。(もしかすると4回目、5回目かもしれないが)
いや、これだと1回目の今日が「楽しくなかった」ように聞こえてしまうな。
違う。
今作は「楽しい」のではなく「感動」するのだ。
だが、感動しない人は感動しないだろう。
それぞれのキャラクターの言動や行動はちゃんと意味あるものなのだが「なぜそうしたのか」が理解できないと、感動は激減である。
受け取り方は千差万別なので、いろんな感想が出ると思うが、情報に惑わされることなく、自分の目で確かめてほしい。
スタジオジブリの集大成
- ルパン三世 カリオストロの城
- 風の谷のナウシカ
- 天空の城ラピュタ
- となりのトトロ
- もののけ姫
- 千と千尋の神隠し
- ハウルの動く城
- 崖の上のポニョ
- 借りぐらしのアリエッティ
- 風立ちぬ
のような場面が随所にちりばめられている。(気づかなかっただけで他にもあるかもしれないが)
例えば『となりのトトロ』で、サツキが階段を駆け上がるが、それに似たものが登場するのだ。
これ、原作の段階で
「この場面好きだから取り入れよう」
と思って、取り入れていったのなら、原作を書いた宮崎駿はそうとう自分の作品が好きだ。
いや、愛してるだろう。
そして、それを随所にちりばめ、ストーリーと総合性を図ったのなら、宮崎駿は天才である。(知ってた)
しかし、スタジオジブリのパロディ映画ができたと思って、劇場に向かうと危険である。
『君たちはどう生きるか』というストーリーがドカッと座り、それに寄り添うように今までの作品が顔を出すのだから。
「死」について考えた結果
生きていれば、誰しも年を取る。
年を取れば考えてしまうのが「死」だ。
宮崎駿監督は御年82歳。
まだまだ長生きしてほしいが、宮崎駿監督も「死」を考えたに違いない。
死んだら、魂はどこへ向かうのか。
天国とは?
地獄とは?
そんな不安や興味、願望をぶつけたのが、今作だろう。
あー心配しないでほしい。
地獄といっても「絵本 地獄」のようなものではない。
他にもいろいろある
- 鳥の動きがリアル
- 建物の外部や内部のデザインがステキ
- 水の表現がすごい
- ぼかしたり、ハッキリ描かないことで生まれる臨場感と現実味
- 映画館ならではの大音量で楽しむ環境音や効果音
- ほんわかな音楽が流れているな、と思っていたら急にシリアスな音楽に変わるので気が抜けない。
- 暗い場面から明るい場面に切り替わる箇所がいくつかあり、「眩しい」と感じることがあった
- ゆったりとした「間」を楽しむ箇所がある。
おわりに
今作を評価しようか迷った。
いつもなら、星5段階で評価するが、1回しか観ていない分際で評価をしてはいけない気がしたのだ。
なので、評価はしないので、理解してほしい。
最後に今作は非常に考察がいのある作品だ。
「あれはどうしてこうなったの?」
「なんでそれがそうなるの?」
「どうしてあれはこうなの?」
などなど、説明が少ないからこそ、考える余地が多い。
是非、ネタバレを喰らう前に劇場へ足を運んでほしい。
そして、楽しい楽しい考察を始めよう。