評価:3
今回レビューするのは、2014年8月20日に発売された、WiiU『クニット アンダーグラウンド』。
スウェーデンの開発社が作った、探索型のアクションゲームです。
昨年末のフライハイワークス生放送で、KOU社長が「埋もれているのがもったいない」とおっしゃっていた作品です。
と思い、購入しました。
正直、数時間で終わるサクッとしたゲームかと思っていましたが、非常に深くて広い深淵が待っていました。
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目次
概要
ゲーム内容
今作は、主人公・ミィを操作して地下世界を探索するアクションゲームです。
第一章・第二章はチュートリアルを兼ねたプロローグで、第三章からが本番になります。
目的は、地下世界に点在する「鐘」を鳴らすこと。
鐘がある場所へ行くためには、収集したアイテムが必要。
- 地下世界を探索し
- 集めたアイテムで道を開き
- 鐘を鳴らす
鐘は、「最後の鐘」以外は好きな順番で鳴らして良い。
プレイスタイル
テレビ画面に探索画面を表示してプレイする場合は、ゲームパッドに地図やアイテムを表示してプレイします。
ゲームパッドのみでプレイすることも可能で、「Xボタン」を押していると地図が表示されます。
俺はもっぱらゲームパッドのみでプレイしていました。
プロコンや、クラシックコントローラーでもプレイ可能です。
求められるアクションが意外とシビアなので、「プロコンの方がプレイしやすい」って人もいるかもしれません。
人型とボール型
第三章から、ミィは「人型」と「ボール型」を切り替えながら攻略することになります。
切り替えは「Rボタン」。
▼人型の特徴
- ジャンプできる
- 壁をよじ登れる
- 色が付いたエネルギー(後述)を使える
▼ボール型の特徴
- 常にバウンドしている
- 「Bボタン」で、強くバウンドする
人型では行けない高さまで飛びあがれる - 特定のロボットに「Lボタン」で繋がる
色が付いたエネルギー
道中では、色が付いた光るエネルギーのような物体があります。
これは、ミィが触れることで取得し、一定時間内に「Lボタン」を押すことで発動します。
取得した光は一定時間で消えてしまいますが、発生場所ではすぐに再発生します。
発動時の効果は以下のとおり
- 赤 その場で飛びあがる
- 青 横方向へ、壁等に当たるまでまっすぐ飛ぶ
- 黄 壁等に当たるまで、まっすぐ上昇する
- 緑 一定時間、自由に飛びまわれる。壁等に当たったら強制解除
- 白 一発エネルギー弾を撃ち、ロボットを破壊することができる。ロボットは画面を切り換えると復活
- ピンク 身体を透明にして、ロボットから逃れられる。
ロボットは、ミィを攻撃したりして探索の妨害をしてきます。
攻撃に当たると、倒されてしまいます。
復活場所は、そこを挑戦する直前です。
ドーラとシリヤ
ミィの冒険には、2人の妖精・ドーラとシリヤが付いてきてます。
彼女たちは、しゃべられないミィに代わり、人と会話したりします。
ドーラは、敬虔で人当たりがよく、前向きで信じやすい。
シリヤは、疑い深くて現実主義の皮肉屋。
人との会話の際、「この2人のどちらかに話をさせる」という選択肢が出ることがあります。
性格が全然違うので、会話の内容も大きく変わります。
ハザマ
地下世界の特定の場所では、「ハザマ」という「世界の裏側」に入れるポイントがあります。
ハザマに進入するには、指定の結晶を消費します。
結晶は硬貨を使って購入できますが、硬貨は有限です。
ハザマのルールは作中少しずつ明らかになりますが、大体こんな感じです。
- ハザマの中での移動方向と、現実の移動方向は同じ
- ハザマで1画面分移動すると、現実では4画面分移動している
- ハザマで移動していると、どんどん暗くなっていく
- 真っ暗になると時間切れ。入口に戻される。
- 立ち止まると、明るさが回復する。
ただし、それでも一定時間経つと真っ暗になる。 - 光る文字の上で立ち止まると、そこが出口になる
ルールを完全に把握できていませんが、「条件の複雑なワープ」ってところかと。
良い点
美しい背景画
地下世界が舞台とはいえ、ずっと土や岩に囲まれた場所を探索するわけではありません。
花やキノコ、樹木など、ハッとするほど美しい背景を見ることができます。
それも一枚絵ではなく、風でソヨソヨと動いていたりしています。
ものすごく、広い
探索範囲は、最終的には1,500画面分を超えるほどになります。
これは、ちょっとやそっとでは歩きまわれません。
ギミックやアクションを駆使して道を切り拓いたり、隠し通路を見つけたりすることで、最終的にはマップ全てを埋めることができます。
どうしても通れない・・・という場所があっても、ストーリー進行で道ができるパターンもあるので、後回しにしても良いです。
自由度と、融通の利く門番
「鐘」は、どの順番から鳴らしても良いです。
つまり、広い地下世界を好きに探索しても良いということ。
探検中にミィの能力が強化されたりはしません。
完全に「人型とボール型の切り替え」と「光るエネルギーの利用」で、ほぼ全ての道を探索できます。
かなり自由度は高いと感じました。
また、「鐘」の場所への道を塞ぐ門番。
彼らに指定されたアイテムを渡すと道を開けてくれます。
このままだと、よくあるお使いですが・・・。
例えば、「花を5つ欲しい」と言われて4つしか持っていない場合。
「じゃあ、花4つとコイン2枚でもいいよ」と代案を出されます。
こういう融通の利く感じ、なかなかないですよね。
代案で妥協することで何かペナルティがあるかもしれませんが・・・。
哲学的かつ俗っぽい、考えさせるテキスト
この世界には、神を信じる「ミリアディスト」と、機械を信じる「インタネット」という2つの宗教が登場します。
どちらかに傾倒しているキャラクターもいれば、どっちかというと・・・というキャラもいるし、どっちも馬鹿馬鹿しいと感じているキャラもいます。
宗教に関する皮肉っぽい話も出てきますし、宗教によって心が救われた話も。
同行している2人の妖精、ドーラとシリヤも、その性格や信念の違いからさまざまな意見が飛び交います。
それは時に宗教的で、時に現実的で、時に哲学的で、時に俗っぽい。
同性愛の話や、二股の話まで出てきます。
日本のゲームでは、ここまでデリケートな話題に切り込むものも少ないと思います。
これを丁寧にローカライズしている点も、非常に素晴らしいです。
不満点
難しすぎる「実績」
トロフィーと同様の要素として、今作には「実績」が存在します。
本編のマップを全て埋めてエンディングに到達しましたが、1つも実績を得られませんでした。
気になるところを再プレイした際、いくつか発見はしましたが・・・このコンプリートは至難の技だと思います。
ここまでマイナーなゲームだと、攻略サイトもありません。
「Miiverse」も終了したため、情報交換する手段も乏しい現状です。
まぁ、コンプが難しいのは仕方ないとして、「マップ埋め」や「ストーリークリア」は実績扱いにしてもよかったのでは。
広すぎて、移動が大変
とにかく広くて探索のしがいがあるゲームですが、広すぎです。
端っこに用事がある時は、そこまで徒歩で行かなくてはなりません。
ハザマを利用することで短縮は可能ですが、アイテムを消耗する上、出口を見つけられないとただの損。
セーブも、セーブポイント制なのでその場所まで移動しなくてはなりません。
スリープもできないですし、ちょっと用事で中断したい時は不便でした。
また、広い割には見た目のバリエーションが豊かで頑張ってはいますが、どうしても似たような地形が出てきます。
ただただ長い通路を行く場面もあり、曲も相まって眠くなりました。
シビアなアクション
頭を使う「パズル要素」は、ほとんどありません。
今作の探索は、とにかくシビアなアクションで頑張ることになります。
- ボールのバウンドを上手く調節してななめに跳ぶ
- 一度高いところへ移動してからボールになり、バウンドで高く跳ねたところでエネルギーを使って飛距離を稼ぐ
- エネルギー移動中に解除して落下して、別のエネルギーを取りつつバウンドし、エネルギーを使って別方向へ
などなど、微妙な操作を要求する場面が多く、難度は高いです。
操作性自体そこまで良いわけではないので、思い通りに動かすにはかなりの慣れが必要でしょう。
ロボットの個体差がわかりづらい
探索の障害物となるロボットたち。
彼らはそれぞれ異なる攻撃方法や動きをしますが、見た目はほぼ同じ。
中には無害のロボットもいるため、ややこしい。
見た目にもっと特徴をつけてほしかったです。
配色がドギツイ
洋ゲーだから・・・でしょうか。
今作の背景は良いのですが、キャラクターやメッセージウィンドウの配色が、キツイです。
キャラクターによってメッセージウィンドウの色を変えているのかもしれませんが、「紫から緑にかけてのグラデーション」とか、見づらいし怖い。
プレイ状況
ソフトウェア | ダウンロード |
プレイ時間 | 35時間 |
総評
自力でマップを埋めた時の達成感はひとしおでした。
実績がまるで開放されなかった時のガッカリ感もかなりの物でしたが・・・。
とにかく広く、探索のしがいがあります。
俺がまだ見つけることができていない要素も山ほどあるようで、今作の「深さ」をこれでもかと感じました。
ローカライズしたフライハイワークスですら「発見できずに世に出してしまったエリア」もあるらしいですし、ものすごいですよね。
価格は、現在1,200円。
値段分は、十分価値があると思います。
セーブデータは、1台のWiiUにつき1つしか作れないようなので、アカウント別にセーブデータは作れません。
家族で別々にプレイはできないようなので、注意してください。
レビュー
総合評価 | |
シナリオ | |
操作性 | |
システム | |
キャラクター | |
ビジュアル | |
音楽 |
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