今日のレビューは、Switch版の『moon』。
「もう、勇者しない」というキャッチコピーが有名ですね。
1997年にプレイステーション版が発売され、その独特な世界観でコアなファンを獲得し、「名作」とも言われる作品です。
20年以上の時を経て、Switchにて移植版が発売されました。
エンディングに到達したので、感想・レビューいきます。
主な良かった点
- 「RPGらしさ」を否定した斬新なストーリー
- 個性豊かなキャラクター
- ソウルキャッチの謎解き要素
主な不満点
- 時代にそぐわない「不便さ」
- 移動が苦痛
- ミニゲーム関連
プレイステーション版は未プレイなので、今回が初プレイになります。
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目次
概要
ゲーム内容
主人公の男の子は、自分がプレイしているゲームの中「ムーンランド」に入ってしまいました。
この世界では主人公の姿は見えないので、服を着ることでムーンランドの住民に気づいてもらえます。
この世界の「勇者」が殺しているアニマルのソウルを「キャッチ」で救い、イベントをこなし、月に到達するのが目的になります。
時間経過とラブレベル
ゲーム内では「1日」と「1週間」の概念があり、時間や曜日によって NPC の行動やイベントの発生条件が変わります。
時間は自動的に経過していきます。
主人公は起きて行動していられる時間に制限があり、制限時間を超えると倒れ強制的にゲームオーバーになります。
ただし、食べ物を食べることで、一時的に行動時間を延ばすことができます。
寝ることで行動時間は回復し、セーブもされます。
アニマルのソウルをキャッチしたりイベントをこなすことで「ラブ」を獲得できます。
獲得した「ラブ」によって「ラブレベル」が上昇し、行動できる時間も長くなります。
左上のゲージが、時間や行動限界を示しています。
真ん中の月マークは「夜」ではなく、「月」の曜日という意味。
ステータス画面では、ラブレベルや行動限界、曜日の確認ができます。
また、カバンに入るアイテムの数には限りがあるように見えますが、アイテムを選んで「STOCK」を選択すると収納可能で、実際にはいくらでも持てるようです。
ただし、消費アイテムなどは入手した時にカバンがいっぱいだと捨てるはめになるので、まめに「STOCK」に入れて整理したり、要らないアイテムは売るなどする必要があります。
ソウルキャッチ
今作では、至る所に勇者が殺したアニマルの死体があります。
その魂(ソウル)はどこか遠くない場所にいるので、見つけてキャッチすることで、魂を肉体に返し救うことができます。
この時に、ラブとお金を入手できます。
魂は簡単にキャッチできるものは少なく、
- 昼間や夜にしか出現しない
- アイテムを使わないとキャッチできない
- イベントをこなさないと出現しない
など、ソウルキャッチ自体が謎解き要素になっています。
ラブレベルを上げたい場合、イベントよりも優先した方が良いです。
MD(ムーンディスク)
今作のBGMは、自分でメニュー画面MD(ムーンディスク)を選択肢して流す形になります。
MDは購入したり NPC から貰うなどで増やせます。
良い点
「RPGらしさ」を否定した斬新なストーリー
「勇者による竜退治」
従来のRPGではよくあるシチュエーションで、プレイヤーが疑問を持たずにやっていた、
- モンスターを殺す行為
- 勝手に人の家のタンスをあさる行為
といった行為を、改めて考えさせられる内容でした。
ゲーム内では善行として描かれている行為でも、実際その世界の住人として見たらどうなのか?
に切り込んだ、RPG全盛の当時としては挑戦的で斬新な作品であったと思います。
個性豊かなキャラクター
ムーンランドの住人は、みんな個性的で人間味があるキャラクターばかりでした。
それぞれ生活サイクルがあり、悩みがあり、趣味があり・・・。
この世界で「生きている」というのが、実感できました。
似ているキャラというのが、ほとんど存在しません。
ソウルキャッチの謎解き要素
アニマルのソウルを捕まえ、ラブレベルを上げる「ソウルキャッチ」。
アニマルによって異なるキャッチ方法が求められ、これ自体が謎解き要素になっているのがおもしろかったです。
どうしたらいいんだろう?
といった感じに、閃いた時は気持ちが良かったです。
不満点
時代にそぐわない「不便さ」
今作はリマスターでもリメイクでもなく、移植。
それも、ステレオ関連以外はまったく変えていない「ベタ移植」です。
オリジナル版のファンから見ると思い出のままでうれしいかもしれませんが・・・。
僕のような新規プレイヤーが心から楽しめるかというと、厳しい部分もあるのでは、と思います。
- 行動限界やMDなど、特徴的なシステムに対する説明が足りない
- ヒントの少なさや散見っぷり
- アイテム解説がNPCだのみ
- スタート画面でカーソルが「Continue」じゃない
など、むしろスーファミの時代でももうちょっと快適なゲームはあったと思いました。
当時のプレイヤーでも、キツイ部分はあったのでは?
むしろ旅に同行してほしかった。
ちなみにパッケージ版には簡易的な説明書がついていました。
簡易的でもないよりマシですが、ダウンロード版を買った人はどうしてるのでしょう?
移動が苦痛
ウルトラショック…(みなと) #moon_rpg #ムーン #NintendoSwitch pic.twitter.com/j4ZAWgnGea
— ゲーマー夫婦 みなとも (@gamelovebirds) January 19, 2021
主人公の歩くスピードは、非常に遅いです。
しかも行動限界が近づくと、さらに遅くなります。
行動限界に達するとゲームオーバーで、タイトル画面に戻されます。
セーブポイントからの行動は全て水の泡ですし、これが原因で辞めた人も多いのではないでしょうか?
ラブレベルが上がって長い時間行動できるようになってからも、いろんなイベントをこなしても、この遅さが改善されることはありません。
いろんな場所に行ったり戻ったりすることの多い作品なだけに、移動が遅いだけでストレスになってしまいます。
ゆったりまったりプレイしたい場合は気にならないかもしれませんが・・・。
そうなると今度は「行動限界」のせいでまったりできない。
とはいえ「行動限界」を排除すると成長要素が役に立たない。
楽しむためのハードルが高いように思います。
条件を満たすと、拠点から各所へワープすることができるようになります。
が、そのワープ先も少ないうえにあまりうれしい場所でもなく、一方通行。
最も移動に重宝するアイテム「たこちゅう」(食べると拠点にワープ)は、イベント後に買えるようになります。
ミニゲーム関連
今作にはいくつかミニゲームがあります。
「ジンギスカン」というゲームは、ストーリークリアに必須ではありませんが、非常に難しくクリアを断念しました。
ラブをコンプしたい人はクリアしなくてはならないため、かなり大変だと思います。
「釣り」は、ストーリークリアに必須のミニゲームです。
「釣り」自体はそこまで難しくはありませんが、
- クリアに必須のものを釣るのに複雑なイベントと条件を満たす必要がある
- 釣り餌の入手が面倒(購入・もしくは採取)
といった感じです。
ノーヒントでクリアできる人、少ないんじゃないかな?
プレイ状況
ソフトウェア | パッケージ版 |
プレイ時間 | 13時間 |
『moon(Switch版)』の総合評価・レビュー
苦しい苦しい序盤を乗り越えれば、今作独特の雰囲気や世界設定を楽しむことはできると思います。
- 個性的で生活感のあるキャラクター
- 「ゲーム」というものの在り方を問う物語
- 戦わず「愛」が大事になるシステム
など、今作が「名作」だと言われる所以も、分かる気がしました。
おそらく、『UNDERTALE』に影響を与えた作品の1つなのだと思います。
とは言え、やたら不便で説明不足で、時代にそぐわないベタ移植である点は無視できません。
新規プレイヤーは、その点も踏まえて検討しましょう。
まぁ一度バットエンドを踏んでしまい、長いイベントをもう一度見るはめになりましたが・・・。
開発資料など、非常に貴重な情報が載っている内容ですので、オリジナル版のファンはぜひBOX版の購入をオススメします。
レビュー
総合評価 | |
シナリオ | |
操作性 | |
システム | |
キャラクター | |
ビジュアル | |
音楽 |
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UNDERTALE(アンダーテール) 感想・レビュー byとも / 素晴らしい音楽と共に、愛を知る!
世界中にファンがいる『UNDERTALE』。なぜそこまで人気なのか、なぜ支持されるのかが分かりました。今作の良さが少しでも伝わればいいなと思い、ネタバレなしのレビューを書きました。