「原点にして最高のダークナイト、登場」
DCコミックで刊行している『バットマン』のゲーム。
シリーズの一作目である『Batman: Arkham Asylum(バットマン アーカム・アサイラム)』は「今までで最も高い評価を得たスーパーヒーローゲーム」として、ギネスに登録されている。
今作は、その『Batman: Arkham Asylum(バットマン アーカム・アサイラム)』と、その続編『Batman: Arkham City(バットマン アーカム・シティ)』のシステムを踏襲したオープンワールドゲームである。
ただし今作の開発は、その2作を開発したロックステディ・スタジオではなく、ワーナー・ブラザーズ。
これは、新作『Batman: Arkham Knight(バットマン アーカム・ナイト)』の開発に注力するためだったと言われている。
今作はXbox360版と、Winsows版、WiiU版も発売されている。(WiiU版はマルチプレイ不可)。
なお今シリーズは、原作『バットマン』のキャラクターと設定を使ったオリジナルストーリーで展開される。
コミックスとも、映画とも話の繋がりはない。
ただし、原作の要素や映画での小ネタもふんだんに使われているため、知っているとより楽しめる。
『Batman: Arkham Asylum(バットマン アーカム・アサイラム)』の物語の、さらに前の話であり、「ブルース・ウエイン」が「バットマン」として活動を始めて2年半のクリスマスイブが描かれる。
原題の「Origins」は、「ヒーロー誕生」を意味する言葉である。
日本人的には「ビギンズ」の方が伝わりやすいだろうが、「オリジンズ」で良かったのに・・・。
今作はオンラインマルチプレイに対応しているが、その部分に関してはプレイしていないのでレビューできない。
スポンサーリンク
目次
概要
発売日 | 2013年12月5日 |
発売元 | ワーナー・ブラザーズ |
開発元 | ワーナー・ブラザーズ |
ハード | プレイステーション3 |
ジャンル | アクション |
CERO | C(15歳以上対象) |
公式サイト | Batman: Arkham Origins |
画像の出典 | 画像は全て上記サイトより引用 |
権利表記 | © Warner Bros. Entertainment Inc. |
良い点
爽快感の増した戦闘
格闘戦(コンバット)は前作同様、難しい操作なくカッコいい戦闘が行える。
さらに、今作では中盤に「ショックグローブ」が手に入る。
「ショックグローブ」は、戦闘中に充電されていき、溜まったら任意で放電し、バットマンが一定時間パワーアップする。というもの。
これにより戦闘の爽快感は格段に上がり、メリハリがついた。
「ショックグローブ」は前作のWiiU版に登場したもので、今作では全バージョンに搭載されている。
▼敵もパワーアップ
こちらの攻撃をかわし、カウンターを入れてくる敵。
通常攻撃が効かない巨体の敵。
など、雑魚敵もバリエーション豊かになった。
▼ボス戦も非常に楽しい。
武器と肉体がせめぎあい、白熱の格闘が味わえるデスストローク戦。
様々なガジェットを使って戦うファイアフライ戦。
ステルスを織り交ぜたボス戦などもあり、実に多彩。
特にデスストローク戦では「全てのカウンターを成功させる」と獲得できる トロフィー がある。
このトロフィーの獲得は非常に緊張感があり、燃えた。
濃密なシナリオ
今作で描かれるバットマンはまだ若く、「バットマン」としての活動を始めて2年ほど。
- ゴードンにどう認められていくのか
- ジョーカーとの出会い
- バットマンとしての覚悟
この辺りが焦点になる。
特筆すべきなのは、バットマンの宿敵「ジョーカー」。
今までも強烈な印象を残すキャラクターであったが、今作ではその邂逅から、彼の「精神」、バットマンに対する感情なども、丁寧かつ混沌とした描写で現している。
豪華で痺れる有料ダウンロードコンテンツ
▼アーカム・ビギンズ・イニシエーション
修業時代のブルース・ウェインを操作できる DLC 。
少しの会話イベントを挟んだキャンペーンと、いくつかのチャレンジを遊べる。
生身で、忍術を駆使して戦う様は、映画『バットマン・ビギンズ』を彷彿とさせ、映画ファンとしてもうれしい。
▼コールド・コールド・ハート
Mr.フリーズをメインとした追加シナリオ。
バットマンは、新装備の「極限環境スーツ」と「サーマルグローブ」、「サーマルバットラング」を使い、氷漬けになった街を攻略する。
「サーマルグローブ」は、「ショックグローブ」と使用感は同じ。
「サーマルバットラング」は、熱を持った手裏剣。氷を砕ける。
物語としてもボリュームがあり、寄り道・散策も可能で、結構遊べる。
この DLC で、Mr.フリーズが更に好きになった。
熱いやつ、頼みます!
不満点
スカスカなマップ
今作は、前作『Batman: Arkham City(バットマン アーカム・シティ)』同様、屋外はオープンワールドになっており、一枚のシームレスなマップである。
広さは前作の1.5倍以上となり、かなり広大。
広くなった分、バットウィングを用いた「ファストトラベル」(ワープ)の機能が追加された。
しかし、その広さを活かすことはできていない。
何も起きない、誰もいない空間がいくつもある。
前作は、どこへ赴いてもイベントが発生したり、「リドラートロフィー」や「監視カメラ」等が隠されていたりして、探索の楽しみがあった。
が、今作は本当に「何もない」路地裏が多く、場所や容量の無駄遣いと感じた。
字幕の表示
バットマンの無線には、周囲で雑談している人物の会話内容も入ってくる。
前作ではちゃんと翻訳されて字幕表示されていたのだが、今作では「なし」。
英語の音声が流れてくるだけで、なんて会話しているのか分からない。
リスニングに自信があれば聞き取れるのだろうが・・・。
また、一部の字幕表示がかなりいいかげんで、他のセリフが被った時に字幕も上書きされてしまい、前のが消えてしまう。
「アナーキー」のイベントが顕著で、膨大なセリフが一気に表示されて、あっという間に消える。
読めるか!
ダークナイト・システム
「カウンターを5回成功させる」や「25メートル以上垂直にダイブする」といった、格闘・ステルス・探索に設けられた課題をクリアすることで経験値などを得られるシステム。
課題への挑戦は楽しいし、報酬も良い。
が、問題は「決まった順序でしか攻略できない」点。
「シャドウ・ヴィジランテ」「ゴッサム・プロテクター」「ワースト・ナイトメア」「世界一の名探偵」の、4つのカテゴリーで分けられた「ダークナイト・システム」は、それぞれ縦に課題が並んでおり、下から1つ1つ順番にクリアしていくことになる。
例を挙げると、RANK2の「1回のプレデターでサイレント・テイクダウンを3回行う」を達成する前に、RANK5の「捜査ビジョンを使用せずにプレデターに勝利する」を達成しても無意味。ということ。
「世界一の名探偵」に関しては、データベースの完成度に応じて達成されていくものなので問題ないが、他のものは達成できる機会が限られているのもあり、不自由。
オンラインマルチプレイ必須のトロフィー
今作はオンラインで参加者を募り、対戦をするモードがある。
そのモードの達成状況により獲得できる トロフィー があるが、オンマルチが苦手なため、未達成。
オンマルチ必須トロフィーはやめてほしいなぁ・・・。
プレイ状況
ソフトウェア | ダウンロード版 |
プレイ時間 | 100時間以上 |
購入した追加コンテンツ | 「デスストローク・チャレンジパック」 「アーカム・ビギンズ・イニシエーション」 「コールド・コールド・ハート」 |
シリーズのプレイ状況(みなと) | Batman: Arkham City(PS3) Batman: Arkham Origins BLACKGATE(PS VITA) Batman: Arkham Knight(PS4) |
トロフィー 状況 | 『バットマン:アーカム・ビギンズ』75% 『イニシエーション』0% 『コールド・コールド・ハート』92% |
トロコン 難易度 | 非常に難しい。オンライン必須のトロフィーあり |
総評
前作が最高傑作であっただけに、開発が変わったと聞き不安ではあった。
が、実際プレイしてみると「バットマン」に対するこだわりと愛に満ちた作品で、十分満足のいくものだった。
特にバトルに関しては前作を凌駕する楽しさで、ダウンロードコンテンツも堪能した。
シナリオも素晴らしく、ジョーカーの魅力が全開。
ただ、マップやシステムについてはアラが目立つ。
前作が本当によく考えられて作られていたことを実感した。
なお、今作にはとてもバグやフリーズが多いらしいが、俺は一度も見舞われなかった。
ただのラッキーかもしれないが・・・。
レビュー
総合評価 | |
シナリオ | |
操作性 | |
システム | |
ビジュアル | |
音楽 |