アトラスのダンジョンRPG『世界樹の迷宮』シリーズ。
チュンソフトの ローグライク RPG『不思議のダンジョン』シリーズ。
この2シリーズが、奇跡のコラボ!
3DS『世界樹と不思議のダンジョン』をレビューします。
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目次
概要
発売日 | 2015年3月5日 |
発売元 | アトラス |
開発元 | スパイク・チュンソフト |
ハード | ニンテンドー3DSシリーズ |
ジャンル | ダンジョンRPG |
CERO | B(12才以上対象) |
公式サイト | 世界樹と不思議のダンジョン |
画像の出典 | 画像は全て、ハード本体のスクリーンショット機能で撮影したもの |
ゲーム内容:各シリーズとの共通点
『世界樹の迷宮』との主な共通点
▼キャラクターメイク
キャラクターの名前と容姿(職業)を自分で設定できる。
▼ギルド
作成したキャラクターはギルドに登録される。
明確な「主人公」は無く、ギルド名で呼ばれることが多い。
▼スキル制
レベルアップで取得するポイントを使用し、スキルを得る。
スキルはツリー式で、ポイントを使えば強化もできる。
▼世界観は『世界樹』
敵キャラやスキル・アイテム等、固有名詞は『世界樹』準拠。
ダンジョン脱出は「アリアドネの糸」で。
イメージイラストや音楽も『世界樹』。
▼街の仕様
ダンジョンで手に入れた素材を売却すると、新たな装備品が販売される。
街の代表者からは、ストーリー進行に関わる「ミッション」を受けられる。
食堂では、お使い要素の「クエスト」を受けられる。
▼装備品の仕様
武器1つに、防具3つを装備可能。
装備できるアイテムは職業によって変わる。
鍛冶屋では武器や盾に特殊効果を付与できる。
装備したアイテムは、所持品枠を圧迫しない。
『不思議のダンジョン』との主な共通点
▼入る度に構造が変わるダンジョン
ランダム生成されるダンジョンの、最深部へ到達することが目的となる。
▼自動セーブ
ダンジョンに入る時に自動的にセーブされる。
ダンジョン内でゲームを終了したい場合は「中断」を選択する。
「中断」せずに電源を切る等した場合、冒険に失敗した扱いになる。
街にいる時は「宿屋」でセーブ。
街にいる時は強制終了してもペナルティは無い。
▼冒険失敗時のペナルティ
倉庫に預けていない所持品を全て失い、所持金は半分になる。
装備品もランダムでいくつか失うが、ダンジョン内で他の冒険者が拾っておいてくれる場合がある。
▼ターン制
自分が動けば、相手も動くターン制。
自分が動かなければ相手も動かないので、考える時間ができる。
▼満腹度(FP)
歩数により減少する満腹度。
0になると体力が減り続ける。
食物を食べるか、琥珀床(後述)を踏むと回復する。
▼ワナの存在
ダンジョン内には、ランダムにワナが設置されている。
踏むと様々な効果があり、不利になることが多い。
▼アイテムの仕様
「敵をマヒさせる薬」「ワナを消す巻物」「装備品を強化する巻物」「満腹度を回復するパン」等。
ただし、「ツボ」は無い。
遠距離攻撃は職業によりけり。
「杖」に相当する「印石」というアイテムはある。
▼状態異常
自分の後ろを攻撃したくなる「ゾワゾワ」。
勝手に行動してしまう「催眠」。
5ターン全く動けなくなる「睡眠」。
等、状態異常の主な仕様は『不思議のダンジョン』準拠。
▼レベルリセットダンジョン
クリア後要素だが、アイテム未識別・レベルが1からのダンジョンも存在する。
取得済みのスキルはそのまま使用できる。
装備品は初期装備となり、それまで所持していたアイテム・装備品は預けられる。
レベルもそのダンジョンから脱出すると元通り。
▼ダンジョン内のお店
お店の床に置いてあるアイテムを拾ってから、店主に話しかけて支払い。
所持品は床に置いて、店主に話しかけると売却できる。
支払いをせずに商品を持ち出したり、店主を攻撃すると「ドロボー」扱い。
「ドロボー」を働くと、そのフロアにいる間は強力な用心棒に追いかけまわされることになる。
「ドロボー」状態で電源を切ったりすると、より重いペナルティが課せられるらしい。(未検証)
ゲーム内容:世界樹と不思議のダンジョンでの要素
今作での要素
▼4人パーティー
ダンジョン探索は最大4人の編成で行う。
1人を操作キャラ(リーダー)として、他の3人はAIで動く。
リーダーはいつでも変更可能。
▼マッピングはできない
ダンジョン構成は『不思議のダンジョン』仕様で、ランダム生成。
手書きによる地図作成はできない。
▼琥珀床
黄色い水たまりのような床は「琥珀床」。
踏むと壊れるが、踏んだ人のFP(満腹度)とTP(スキルを使用する際必要)を回復する。
▼さまよう宝箱
ダンジョン内にはランダムで「さまよう宝箱」というアイテムが配置される。
「さまよう宝箱」がある部屋に入ってから、規定ターン数までに拾わないと消えてしまう。
中には有用なアイテムや性能のよい装備品が入っているので、スキルやアイテムを駆使して優先して拾うべき。

あと5ターンで消失してしまう
▼アリの巣構造
ダンジョンは縦長構造ではなく、同じ階層に複数のフロアが存在するアリの巣構造。
登り階段や下り階段が複数あり、行き止まりもある。
▼砦
砦を建設すると、ダンジョンのアリの巣構造が固定化する。
そのダンジョンに再進入しても、ダンジョンの構造はランダム変化しない。
アイテムやワナは再進入した際、再配置される。
砦には種類があり、機能や建設費用が異なる。
転送機能が備わった砦もあり、ダンジョンに再進入した際、その砦から再開可能。
転送機能がある砦間でのワープもできる。
ある程度の深さ以降は砦建設は不可なのと、そもそも砦建設ができないダンジョンも存在する。
街で待機している味方を砦に派遣することも可能。(取得経験値が増える)
▼D.O.E
『世界樹』における「F.O.E」に相当する敵で、特定のダンジョンで出現し、フロア間をまたいで移動する。
基本的には地上を目指している。
地上に到達されるとペナルティがあるらしい。(未検証)
砦を建設していると、その砦に「D.O.E」が到達した際、砦を破壊され「D.O.E」も撤退する。
道中で出会った場合や、砦で応戦することも可能。
砦に味方を派遣している場合、最大8人での防衛戦ができる。
普段は特殊なオーラに覆われていてダメージを受け付けないが、状態異常にすることでダメージが通る。

左上が「D.O.E」
▼街の発展
一定額寄付することで、街の各施設をグレードアップできる。
発展させることで、商品が増えたり、鍛冶の効果が増えたり、ギルド登録人数が増えたりする。
良い点
コンセプト
『世界樹の迷宮』と『不思議のダンジョン』。
どちらも「ダンジョン」を題材としたゲームである。
この2シリーズのコラボが実現しただけでも、凄い。
実質「キャラクターメイクが可能な『不思議のダンジョン』」って感じ。
砦から再スタート
転送機能がある砦を建設しておくと、ダンジョン再進入の際、その砦から再スタートできる。
長丁場となるダンジョン攻略で、この機能は非常にありがたかった。
キャラクターデザイン
今作のキャラクターデザインは、『世界樹の迷宮』でのキャラクターデザインを基に、『不思議のダンジョン』のデザイナーが描いたもの。
ここでもコラボが!
雰囲気はかなり『世界樹』に寄せてあり、可愛らしい。
街のキャラクターも個性があり、会話していて楽しい。
不満点
味方AIの頭が悪い
リーダー以外の味方はAIによる操作なのだが、これがすこぶる頭が悪い。
- 敵がいないのに、状態異常回復スキルを使う(時間経過で回復する状態異常がほとんど)。
と思ったら、すれ違うだけで回復する「マヒ」を放置。 - 弱い敵に対し、大技や強化スキルをガン積み
- とにかくTPを温存しようとしない
- はぐれると、合流する努力をしない。
リーダーが別部屋等にワープしてしまうと、残りのメンバーは自由に歩き回ろうとする。
チームでしょ? - 勝手に歩いて勝手に罠にハマる。
罠を調べながら歩いている時でも同じ。
「リーダー以外は罠にかからない」仕様でも良かったのに。 - 敵に突っ込む。
「空振りして引き寄せる」といった戦法は知らないようだ。
「パーティーでダンジョン攻略」が売りだと思うが、AIのせいで完全に足枷。
ソロ攻略の方が安定するという・・・。
スキルはON/OFFが可能ではある。
使ってほしくないスキルはOFFにできるが、「適度に」とか、「状況に応じて」とかはできないようだ。
スキルの回復手段は多くないし、琥珀床での回復も微々たるもの。
そもそも、リーダーは温存できているので、「TPが枯渇しているメンバーを操作キャラに切り替えてから琥珀床を踏む」という手間をかける必要が出てくる。
満腹度(FP)が無意味
FPが減るのは、操作キャラ(リーダー)だけである。
職業によって、減り方には差がある。
他のメンバーはいくら歩こうが、FPは減らない。
要するに、リーダーのFPが厳しくなってきたら、他のキャラをリーダーにしてしまえば良い。
お弁当系のアイテムは全員のFPを回復する効果がある。
お弁当は宿屋で毎回貰えるため、FPで困ることは、ほぼ無い。
琥珀床の仕様と相まって、FP自体に意味が無いように見える。
『不思議のダンジョン』では重要ステータスなのに・・・。
全員のFPが一律で減るようになれば良いのに。
で、琥珀床の効果は全員に現れるように。
これなら、FPとTPの価値も妥当になりそう。
D.O.Eの「特別感」が薄い
『世界樹』の「F.O.E」と言えば、初見では撃破不可能な超強敵で、できるだけ避けて攻略するのが望ましい存在である。
倒すことができれば特別な素材を落とし、達成感もひとしお。
しかし今作の「D.O.E」は、はっきり言って弱い。
初めて遭遇した相手でも完封することすら可能で、比較的ホイホイ出てくる。
ダメージを与えるためには手順が必要だが、面倒くさいだけで「強さ」には繋がっていない。
しかも、素材はあまり落とさない。
自動セーブで、全滅時のペナルティが重いため、あまり尖った難易度にはできないのかもしれない。
ダンジョンが単調 多い 長い
ストーリークリアまでに攻略必須なダンジョンは7つ。
さらに、クエストで訪れるダンジョンは4つ。
クリア後に解禁されるダンジョンは9つ。
なんでこんなに多いかね。
本家は両方ともダンジョン数はそこそこだったと記憶していますが・・・。
ダンジョン構成も景色と敵が違うだけで、やっていることは同じ。
特殊なダンジョンは「レベルリセットダンジョン」くらい。
敵に関しても、そのダンジョン内では大体同じメンツ。
深く潜れば強化されるが、それだけ。
で、1つ1つのダンジョンも長めなため、退屈する。
途中から「砦建設に専念して即降り」で攻略することにした。
ダンジョン内BGMが穏やかじゃない
『世界樹』でおなじみの曲がアレンジされたりして、全体的には良曲揃い。
ただ、ダンジョン内に関しては基本的に「戦闘曲のアレンジ」。
探索と戦闘の線引きが無いシステムではあるが、ずっと「戦闘曲」なのは気が滅入る。
本家の『不思議のダンジョン』では、ダンジョン内でも穏やかな曲や明るい曲も多いのに・・・。
その他の不満点
- ツボが無い
アイテムを保存したり、不要なアイテムを変化させたり、合成したり・・・。
そういった事はできない。 - マッピングができない
- 「ページ送り」のコマンド
通常と、店や預り所の時と、操作方法が違う。暴発しますわ。

通常は「X」+上下ボタン

預かり所等では「START」+上下ボタン
プレイ状況
ソフトウェア | パッケージ版 |
プレイ時間 | 35時間 |
シリーズのプレイ状況(みなと) 『世界樹の迷宮』シリーズ |
『世界樹の迷宮』(DS) 『世界樹の迷宮IV 伝承の巨神』(3DS) |
シリーズのプレイ状況(みなと) 『不思議のダンジョン』シリーズ |
『不思議のダンジョン2 風来のシレン』(SFC) 『不思議のダンジョン 風来のシレン2 鬼襲来!シレン城!』(N64) 『不思議のダンジョン 風来のシレン3 からくり屋敷の眠り姫』(Wii) 『不思議のダンジョン 風来のシレン5 フォーチュンタワーと運命のダイス』(DS) 『不思議のダンジョン 風来のシレンGB 月影村の怪物』(GB) 『不思議のダンジョン 風来のシレン 月影村の怪物』(PC) 『不思議のダンジョン 風来のシレンGB2 砂漠の魔城』(GBC) 『不思議のダンジョン 風来のシレンDS2 砂漠の魔城』(DS) 『不思議のダンジョン 風来のシレン外伝 女剣士アスカ見参!』(PC) 『トルネコの大冒険2 不思議のダンジョン』(PS) 『トルネコの大冒険3 不思議のダンジョン』(PS2) |
総評
『世界樹の迷宮』も、『不思議のダンジョン』も好きなシリーズだけに、期待していた今作。
実際プレイしてみると、どっちつかずの印象でした。
両作の特徴が、逆に両作の長所を潰してしまっていました。
AIも、ダンジョン構成も、ダンジョン数も・・・う~~ん、改善してほしい部分が多い。
俺にとっての『世界樹』の魅力は、やはり「マッピング」なんだと、あらためて認識しました。
今作はむしろ、『世界樹の迷宮』も、『不思議のダンジョン』も未プレイの人にとって良いかもしれません。
レビュー
総合評価 | |
シナリオ | |
操作性 | |
システム | |
キャラクター | |
ビジュアル | |
音楽 |